ベルギー戦の組織的な守備の戦術と未来の戦い方

2018年7月3日のベルギー戦で逆転負けを喫した。しかし日本の前線からの守備は素晴らしかった。これが今後の日本の守備か。ベスト16より上を目指す日本の戦い方を世界の評価から見る。

香川の素晴らしさ

とにかくベルギー戦の香川は素晴らしかった。

外部参考サイト:献身性を見せた『日本の10番』…香川真司がチーム唯一の走行距離12km超え | ゲキサカ

この記事では香川の走行距離がチームトップの12.047kmで、セネガル戦の長友の11.088km、ポーランド戦の柴崎の10.818kmを抜いてトップになった。
守備の目安の様に評価されるボール非保持の走行距離でもチーム最長の5.518kmを記録している。

香川のベルギー戦での素晴らしさは数字でも表れている。

日本の前線の組織的守備

FWのコースを消す守備は意味がないのではないか。

コースを消す守備は意味がない

コースを消すだけの守備というのはボールを持つ相手選手に周りを見渡す時間を与えることになってしまう。

ボールを持つ相手選手に周りを見渡す時間を与えれば、その周りでボールを受けようとする相手選手にも移動する時間を与えることにもなる。

するとボールを受ける周りの相手選手は、日本選手が消しているコース以外のコースに移動してパスをもらえば、「コースを消すだけの守備」は意味をなさないものになってしまう。

組織的コース切り守備で活かす

しかしこの考察はベルギー戦に関しては崩された。

日本選手は前線から4人から5人(時に柴崎が加わる)の人数で相手ベルギーDF選手をマンマークの様について回っていた。

ベルギーDFは両サイド・センターのバランスを取った位置でパスを通そうとするので、一人一人に前線の日本選手がついてしまうとパスが回せない。

日本選手は無理に取りに行かないのだが、間合いを詰めて、相手に取れる隙があれば取りにいく。

ハリルホジッチの1対1のデュエルを挑んで取るという事ではなく、相手がミスをしたら取るという形だ。

仮にボールをもらおうとする相手がもらえる位置に移動したとしても、その相手選手に日本選手がついていくので、ボールを持つ相手選手はパスを出せないし、戸惑っていると日本の選手にボールを奪われてしまう。

この前線からの組織的守備で日本は積極的に有利に試合を進める事が出来た。

ブラジルには通用しない

しかしこの組織的守備はブラジルには通用しないだろう。

彼らは相手が取りに来ないで間合いをあけてると、最終ラインの選手でも、自身の体制を整えて1対1で勝負してくる。

欧州の最終ラインの選手はボールを持って1対1などしない前提がある。

最終ラインの選手が1対1で勝負して、取られでもしたらそれは即失点につながる可能性が高いからだ。

しかしブラジルの選手は最終ラインの選手でも違う。

彼らには「取られたら」という考え方はない。

ここで1対1で日本選手を抜いたらとか抜けるとしか考えない。

そして実際その能力が高いため、抜いていってしまう。

つまり「もし失敗したら」とは考えず、「トライして成功させる」という意識が潜在的にあるからだ。

日本人の文化とブラジル人の文化の違いか。

また彼らは根本的な考え方の所で日本や欧州の様に組織を重視しない。

だから日本が前線からマンマークの様についていたら、ボールを持っているブラジル選手の周りに数人が集まってきて、狭いところでパスを回し、ワンツーなどで抜けていってしまう。

これらの考察からブラジルに対してはベルギー戦で見せた日本の前線からの守備は残念ながら通用しないだろう。

日本の守備戦術の土台

ブラジルはともかく、ロシアワールドカップ以降の日本が世界と戦う守備戦術はこの形になるのか。

最初から引いて相手を受けて守る、つまりリアクションの守備ではなく、前線から日本選手が相手に対して仕掛けていく守備。

そしてベルギーの司令塔のアザールやロングシュートのあるブライネにボールが入ったら、日本選手は2人がかりで一気に奪いに行く。

相手のキーマンとなる選手にボールが入ったら自由にプレーさせない目的で一気に数的有利にして守備を仕掛ける。

そして相手が日本陣内に入り込んでしまった時、引いてブロックを作る。

この守備がロシアワールドカップ後の日本サッカーの守備となるのだろうか。

強豪国との差

ベルギー戦ではロスタイムに積極的攻撃に出て、ロスタイムに失点し、負けてしまった。

世界にはその試合運びを批判する声もある。

外部参考サイト:「自己過信が招いた結末」「カガワは模範」仏メディアが日本代表のW杯を総括!【ロシアW杯】 – ライブドアニュース

この記事ではフランス放送局のTF1の放送で香川を絶賛していたことと、本田の日本人には珍しい個性の事と、そして3失点目の事を元フランス代表で1998フランスワールドカップと2000UEFA欧州選手権で優勝に貢献したユーリ・ジョルカエフが辛らつな意見を語っている。

エクセ・ド・コンフィアンス(過信)ですね。自己過信がこれを招いたのです。3点目を入れられると過信して、ゴールを狙った。その結果ベルギーに絶好のカウンターチャンスを与えてしまったのです。自己過信はいけない。過信せず、延長戦に行くべきでした
外部参考サイト:「自己過信が招いた結末」「カガワは模範」仏メディアが日本代表のW杯を総括!【ロシアW杯】 | サッカーダイジェストWeb

イタリアの名将ファビオ・カペッロ氏も同様に、本田はCKを蹴るべきではなかったと強く訴えている。

日本は意味のないことをした。私が日本の指揮官だったら、ホンダの元へ行き、彼の首元をつかんだだろう。日本は94分まで、すべてのCKでショートコーナーを選択し、ボールを中に放り込むことは一切しなかった。
外部参考サイト:W杯2大会指揮の伊名将、危機招いた本田圭佑に喝「あのCKは絶対蹴ってはならない」 | ゲキサカ

確かにそう思う。

なぜあそこでベルギーのカウンターを意識する事なくFKやCKで1点を取りに行ったのか、なぜ日本のCKがベルギーGKにキャッチされた後全員が戻る意識をより強く持たなかったのか。

それが強豪国との差だ、といわれればその通りかもしれない。

延長戦も考えてロスタイムのCKは手堅くいくべきでは、と頭をよぎった。

しかしあのCKで入っていれば、また評価は変わってしまう。

つまりは結果論になるのか。

日本には結果が出れば何でもありという流れがあるように思える。

勝てば官軍。

だから良い結果が出てしまうと反省や修正がなされにくい。

あのCKで1点取れてしまっていたら、この反省はなされず、次のワールドカップでもロスタイムに1点を奪いに行ってしまうのだろう。

ベスト16の壁を破って強豪国の仲間入りをするには、このケースの場合手堅く延長戦を意識して、相手ゴール前人数を減らして勝負すべきなのかもしれない。

それが今の日本の世界での立ち位置で、強豪国との差なのかもしれない。

西野監督の二つの判断

西野監督はグループリーグ第3戦のポーランド戦で、決勝トーナメント進出の為に、試合終了10分前に攻撃する事を放棄し、試合を捨て、「JFAサッカー行動規範」に違反してでも時間稼ぎを選択した。

サイト内リンク:西野監督の時間稼ぎのパス回しは行動規範に違反 | サッカー日本代表考察

しかし決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では延長戦・PK戦の前に決着をつけるため、ロスタイムにまで、攻撃の手を緩めず、それが原因のカウンターを受けて負けてしまった。

試合前の会見でもPK戦までに決着をつけると語っていた。
サイト内リンク:西野監督のベルギー戦の試合前日会見から考察 | サッカー日本代表考察

西野監督は二つの正反対の判断をしてしまった。

迷いもあったのか。

この前の試合のポーランド戦の時間稼ぎがプレッシャーになって、この試合のロスタイムの時間稼ぎの決断が出来なかったのか。

香川がこの記事の中で語っている。

今回はやっぱり良い守備をして、粘り強く戦っていくなかで自分たちのリズムを窺うじゃないですけど、そういうものが非常にチームとして統一されていた。仮にセネガル戦みたいに失点していても、辛抱強く、忍耐強くやり続けること。そこはチームとしても一人ひとりやり切れていたと思う
外部参考サイト:「あの失敗は繰り返せない」二度目のW杯で輝きを放った香川真司の“ブラジルでの教訓” | サッカーダイジェストWeb

全ては結果論だが、延長戦・PK戦を見据えた、香川の言葉を借りると「辛抱強く、忍耐強くやり続ける」戦い方をすべきだったのではなかったか。

その戦い方がロシアワールドカップで日本をベスト16まで押し上げたのだから。

何度も言うが全ては結果論なのだが、あえてここに書き記さねばならないと思った。

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